こどもに手づかみ食べ、させてますか?
させてる、と思っている方、実はできていないかもしれません。
著者は山口平八さん、清水フサ子さん。
山口平八さんは、京都府内にある与謝の海養護学校の養護教員として、働いてこられた方です。現在は、社会福祉法人さくら会(埼玉県深谷市・故 斎藤公子氏創設さくら・さくらんぼ保育園)の理事長をしておられるそうです。山口さん自身も3人のお子さんがおられるお父さんです。
清水フサ子さんは埼玉県にある保育園に勤務後、同じ埼玉県に「どんぐり乳児保育園」を立ち上げ、初代園長になられました。現在は保育士育成や子育て中の保護者のための講演活動を行っている方です。
二人とも保育のプロ、といった経歴の方ですね。
本の構成
大きく3つにわかれます。
第一部に
子どもの「手づかみ食べ」の理解と実践
第二部に
しっかりと食べられる人間に育てる
第三部に
子どもたちの幸せを願って
となっています。
「どんぐりどんぐりっ子保育園」を舞台に、具体的な子どもたちの様子を例に取りながら、わかりやすく手づかみ食べについて話が進んていきます。
手づかみ食べってなにがいいの?
指をつかう
最近は、小学校に入って授業の時間に4Bや2Bの鉛筆を持ってくるよう言われるそうです。
筆圧が下がっている、ということの証明になっていますね。
昔はHBの鉛筆をもってくるように言われていました。
筆圧が弱く、字をかいても何が書いてあるか読めないそうです。
その筆圧の弱さ、はもっと赤ちゃんの頃に指を使っているかにもある程度影響しています。
手づかみ食べは、指を使います。
指の器用さは頭の良しあしにもかかわってきます。
そのため、指を使う、という点でも手づかみ食べは推奨されています。
手の指は突き出た大脳
本ではそんな風に言っています。
自立を促す
手づかみ食べをさせる、というのは親にとっても少し勇気がいることです。
汚れます。すさまじいことになります。
しかし、それは子供が「じぶんで」ご飯をたべたいという欲求をかなえた結果なのです。
10か月にもなると、「じぶんで」が増えてきます。
この時、汚れるから、時間がかかるから、後片付けが大変、などの理由で
手づかみ食べをさせないと、せっかくの自立の芽を摘むことになってしまいます。
手づかみ食べのやり方
必要な条件
赤ちゃんがずりバイをするとき、大人がほふく前進するように肘を床についていません。
肘は床から離して手のひらだけで這っているのです。
このように腕を突っ張り手のひらで上半身を支えて移動できるようになると、顎の上下運動、「かみかみ期」とよばれる次期へ入ったことがわかります。
なので、野菜スティックなどを歯茎で噛み切ることが出来るようになります。
また、外のものに興味や関心をもって次々身近なおもちゃや紙切れに手をのばし、それを掴んで遊べるようになることも必要です。
環境を整える
まず、親の心構えとして、机全体をお皿だと考えること。
お行儀を考えないこと。
汚れることを気にしないこと。
が必要です。
こどもの側は、ご飯のまえにしっかりお腹がすいていることが必要です。
ずりバイなどで体を動かし、しっかり遊んでおきましょう。
まず、そしゃくするものを与える
ご飯の前に噛み切れない食材を与えます。
硬めにゆでたごぼう、人参、キャベツの芯、ブロッコリーの茎などです。
スルメもいいかな?と思います。
お腹がすいているときには一生懸命噛むでしょう。これがあごの力を育てます。
次におひたしを与える
白菜、春菊、小松菜などの葉物野菜のおひたしを与えます。
1歳過ぎるころまでは、苦味のある野菜は控えますが、1歳過ぎる頃には少しずつ苦味のある野菜も増やすといいでしょう。
意識して食材や味覚の幅を増やすことはとても大事です。
だしで煮た野菜スティックを与える
大根、ニンジン、かぶ、ブロッコリー、玉ねぎなどを本では土鍋で煮て与えます。
昆布だしなどのだしで煮ただけのシンプルな味付けで、薄味のものがいいでしょう。
最後に御飯
野菜を食べたら、たんぱく質、鶏肉や白身魚、豆腐などアレルギーの少ないものから始めて、色々なものを食べさせましょう。
そのあと、白米をたべて、ごちそうさまです。
まとめ
硬くて噛み切れないもの→おひたし→野菜スティック→たんぱく質→御飯
の順番です。
離乳食の間はこれで十分だそうです。
どんぐり保育園ではこの給食が毎日でて、子どもたちはてづかみで、かなりの量を食べるようです。
まとめ
このほかにも、お箸でたべるには、「対のゆびさし」が必要で、
二つのものを認識する能力が必要である
など、色々な豆知識もかかれています。
はいはいをさせるのがいいことは知っていましたが、はいはいがかむ力にも影響していることはしりませんでした。
それから、てづかみたべをする、ということは親の覚悟も必要です。
毎食、服も床もテーブルもすごいことになります。
食材も下手したら半分くらい無駄になってしまうでしょう。
汚れないおやつなどを手づかみで食べさせる、ということ、のみ、をやっているのは
「手づかみ食べ」をやっている、とは言えません。
毎食しっかり汚しながら手で食べることが手の指の器用さには必要です。
しかし、手づかみ食べによって、指の器用さ、自立心、食への興味をもつことが出来るようになれば、いいのではないでしょうか。
実際に、親がスプーンを口に運ぶより、子どもが自分で手づかみで食べるほうがしっかり量も食べる、という声も載っています。
とても参考になる一冊でした。
手づかみ食べってやらせたほうがいいのかな?と思っている方は手に取ってみてください。
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